<診断への思考>

 


診断を得るための思考ついて解説します

 

年齢・性別・主訴からいくつかの疑う病名を想像をしながら問診をします


疑う病気について、

一般的にどんな病歴で受診するかという知識を貯えていきましょう

  

 

いわゆる一般歯科と内科では、診断に至る思考が異なります

 

ここでいう一般歯科とは、ほぼ全ての患者さんが、歯が原因で受診していると考えて原因歯を検索すればよい状況のことです

 

この場合、無理にいろいろな疑う病気を考えるよりも、まずは歯に原因があると考えて診察を進めた方が効率的です

 

一方、内科では主訴が腹痛やめまいなど様々であり、原因として疑う病気も多岐に渡るため、問診で聞き取る情報も多くならざるを得ません

 

大事なことは、同じ診断をつけるという作業でも、条件が違えば思考も違うということです

 

口腔外科を受診する患者さんは、一般歯科では珍しい主訴であることも多いため、疑う病気も多くなります

 

ですから、国試でもいろいろな病気を疑いながら問題文を読むように意識しましょう

 


103C-31

医療面接と診察の項目①〜⑤を以下に示す

 

① 触診

② 視診

③ 主訴の聞き取り

④ 現病歴の聞き取り

⑤ 既往歴の聞き取り

 

初診時に行う順序で適切なのはどれか

1つ選べ

 

a ④—⑤−③−②−①

b ④−⑤−③−①−②

c ③−④−⑤−②−① (主訴-現病歴-既往歴-視診-触診)

d ③−⑤−④−①−②

e ②−③−④−⑤−①

 


はじめに受診した理由(主訴)を聞きます


主訴を聞いた時点で、いくつかの疑う病名を想像しながら、現病歴を聞きます

 

主訴を聞いて、

それがいつから生じたか、どのように症状が変化したから今日受診したのかなど、主訴に関連する質問をします

 

ですから主訴の次に現病歴を聞くことはごく自然でしょう

 

「この病気であればこんな症状もあるだろう。あの病気であればこういう症状があるはずだけども、その症状は無いからやはり違うのか」

 

などと考えながら、現病歴のなかで情報収集をしていきます

 


その後、これまでに罹患した病歴(既往歴)を聴取します

 

主訴と関連が無い情報も含まれるので現病歴の後に聞くようにします

 

局所麻酔施行時には高血圧の有無も気にするため、診断とは直接関係がなさそうな既往についても聴取します

 

これまでのアレルギー反応歴の有無も既往であるため、ここで聴取します

 

なければ「薬物アレルギー歴なし」とカルテに記載します

 

記載がないと、聴取していないのか、薬物アレルギー歴がないのかがわからないからです

 

103C-96

 

既往歴の聴取で得るべき情報はどれか

2つ選べ

 

患者の人生観

現疾患との関連性

現疾患の発病日時

患者の解釈モデル

薬物アレルギーの有無

 

問診を十分にして、この病気だと思うけど、もしかしたら病気だったらこんな病気の可能性もあるかと考えながら、身体診察で確かめていきます

 

診察については、まずは見るだけの視診からです

 

例えば、赤く腫れている範囲を最初によく見極めて、次に「熱感はあるのか?」、「波動は触れるのか?」などと考えながら、触診を行います

 

重要なことは、問診も診察もいくつかの病気を疑いながら情報収集をするということです

 

膿瘍を疑っているからこそ、触診で波動の有無をしっかり確認しようと考えられるわけです