<アナフィラキシー>
毎年必ず出るのが「アナフィラキシー」です
「アナフィラキシー」=「ひどいアレルギー」
原因物質に対する
過剰な免疫反応をアレルギーといいます
急性で全身性で重度なものを
アナフィラキシー(anaphylaxis)といいます
昔、犬で免疫を調べる実験が行われました
予防接種にように、
イソギンチャクの毒素を注射すれば、
「免疫」ができるだろう
イソギンチャクの毒素を注射し、
2週間後にまた同じ毒素を注射しました
きっと「免疫」で2回目は何も起こらないか、
症状が出ても軽いだろう・・・
ところが、
犬は呼吸困難とショック(血圧低下)で死んでしまいました
「アナフィラキシー」は、
この現象を “ana(反対)phylaxis(防御) ”と呼んだことに由来しています
ガイドラインもありますので、
一度は目を通しましょう
動画でどんな感じか見てから対応を覚えましょう
筋注が「大腿(太もも)」ではなく「お尻」なのが気になります
アナフィラキシーショックによる死亡=年に50~80人!
最多の原因=薬(20~40人)
なんとか減らそうと
ガイドラインなどが作成され、
国試でも毎年出題されています
↑
アナフィラキシー死亡を減らすために
大事な6つのことが書かれています
① あらゆる薬が原因になり得る
→これまで安全に使用できた薬でも起こりえる
② 造影剤、抗菌薬、筋弛緩薬などの危険性が高い薬を静脈内注射する場合、
投与開始から5分間は注意深く観察する
③ 投与後に皮膚症状に限らず容態が変化した場合、
確定診断を待たずにアナフィラキシーを疑い、
直ちに薬の投与を中止
アドレナリン0.3mg(成人)を準備
④ アナフィラキシーを疑った場合、
アドレナリン0.3mg(成人)を
大腿前外側部に筋肉内注射
⑤ アナフィラキシーのリスクが高い薬をつかう場所には、アドレナリンを置いておく
すぐに筋肉内注射できるよう指示・連絡体制を決めておく
⑥ アレルギー情報を把握し、それを多職種間で共有できるようなシステムをつくる
アナフィラキシーによる死亡では、
心停止もしくは呼吸停止までの時間は、
薬剤で5分、ハチ毒で15分、食物で30分です
早い対応(アドレナリン投与)が必要です
111A-58
アナフィラキシーショックの治療に使うのは?
2つ選べ
a β遮断薬
b アドレナリン
c カルシウム拮抗薬
d 副腎皮質ステロイド薬
e アトロピン硫酸塩水和物
<解説>
アナフィラキシーショック ≒ アドレナリン投与
とにかくこれに尽きます
「2つ選べ」ですが、
大切なのはアドレナリン投与です
アナフィラキシー ≒ アドレナリン筋注
110A-4
アドレナリン自己注射薬を処方される「小児の既往」は?
1つ選べ
a てんかん
b 過換気症候群
c アナフィラキシー
d 血管迷走神経反射
e 睡眠時無呼吸症候群
<解説>
アドレナリン自己注射薬を処方されるということは、
急いでアドレナリン注射 =「アナフィラキシー」です
エピペン®︎が自己注射の製剤です
110B-5
33歳、男性
下顎左側智歯周囲炎で、抗菌薬の点滴静注を開始した
投与開始5分後から皮膚の搔痒感と嗄声が生じた
血圧70/40mmHg、心拍数 98/分、
次第に意識消失
投与すべき薬剤は?
1つ選べ
a β遮断薬
b ミダゾラム
c アドレナリン
d 抗ヒスタミン薬
e 副腎皮質ステロイド薬
<解説>
薬を使ってすぐに具合が悪くなった
→まず「アナフィラキシー」を疑います
疑ったらアドレナリンを準備
ボスミン(アドレナリンの商品名)を0.3ml筋注
(1アンプルは1mlなので全部入れたらダメ)
大腿部中央の前外側に筋注します
慌てて全部注射しないようにしましょう。
ところで、
アナフィラキシーでなぜ嗄声になるのでしようか?
下にあるように、
皮膚に蕁麻疹が出たり、まぶたが腫れたりします
外からは見えないですが、
のどの奥も同じように腫れると、
嗄声が出たり
呼吸困難感がでます
声帯が腫れると嗄声が出ますし、
下気道が腫れると喘鳴が出ます
ボスミン®注 1mg/1ml
アナフィラキシーでは0.3ml筋注
(体重50kg以上の場合)
アナフィラキシーの第一選択薬は
ボスミン®(アドレナリン)です
原液のまま0.3mlを筋注します
(のんびり薄める暇はありません)
局所麻酔薬によるアナフィラキシーは
10万回に1回
筋弛緩薬や鎮痛薬は1000〜10000回に1回
ちなみに
歯科で『あなたは局所麻酔薬のアレルギーがある』
と言われた人の多くは迷走神経反射で
本当のアレルギーではないそうです
106B-49
24歳、女性
唾石摘出術後の疼痛で、
鎮痛薬を投与したところ、
全身搔痒感と呼吸困難を訴えた
顔面は紅潮し口腔内には浮腫がみられ、
呼吸は努力性で喘鳴を認めた
体温 35.9°C、呼吸数 23/分、
脈拍 100/分、血圧 80/40 mmHg
酸素吸入とともに静脈路を確保した
まず投与すべき薬剤は?
1つ選べ
a フロセミド
b ジアゼパム
c アドレナリン
d フルマゼニル
e ニトログリセリン
<解説>
薬を使って
皮膚症状(掻痒感: そうようかん, かゆみ)と呼吸困難感
→ アナフィラキシーを疑う
口腔内に浮腫、
のどの奥も浮腫で狭くなり喘鳴(ぜんめい: 気道の奥が狭いときのヒューヒュー音)
→ アナフィラキシーを疑う
血圧も低下しているのでなおさらですが、
血圧低下がなくてもアドレナリンは症状次第で使います(下記のグレード3以上)
まずはアドレナリンです
アドレナリンをどうやって投与するかが重要です
原液のまま0.3mlを筋注します
<症状出現頻度>
皮膚および粘膜:80-90%
気道:70%
消化器:45%
心血管系:45%
中枢神経系:15%
<アドレナリン筋注の適応>
① グレード3の症状
心停止、血圧低下(成人90mmHg未満)、不整脈、
意識消失、嗄声、犬吠様咳嗽、嚥下困難、喘鳴、
チアノーゼ、持続する我慢できない腹痛、繰り返す嘔吐等
② 過去の重篤なアナフィラキシーや症状進行が激烈な場合はグレード2でも投与
107A-107
30歳、女性
歯性上顎洞炎のため、抗菌薬の静脈内投与を開始した
10分後、顔面から頸部に皮膚の発赤と膨疹が出現した
この後、起こり得る症状は?
2つ選べ
a 発熱
b けいれん
c 血圧低下
d 牙関緊急
e 呼吸困難
<解説>
アナフィラキシーかどうかは検査で決めません
急に具合が悪くなったときに
アナフィラキシーが疑われるのであれば
アナフィラキシーとして治療をはじめます
アナフィラキシーを疑うことが大切です
しょっちゅう起こればイメージしやすいですが、
めったにありません
どんなときにアナフィラキシーを疑いますか?
抗菌薬を投与した10分後、
顔面から頸部に皮膚の発赤と膨疹が出て、
血圧低下と呼吸困難もあればわかりやすいです
この問題のメッセージは、
「薬の投与後に、皮膚症状(赤い、かゆい)が出現したら、血圧が下がってないか? 呼吸が苦しくないか?を確認しましょう」ということです
血圧は測らなければわかりません
とりあえず脈を触れてあたりをつけながら
看護師さんに測ってもらいます
息苦しくないか質問しながら、
呼吸状態や喘鳴有無を観察します
病気を疑って、
問診や所見をとることが大切です
アナフィラキシーの症状はいくつかありますが、
症状にもでやすいもの、でにくいものがあります
局所麻酔薬によるアナフィラキシーで
よく見られる症状はなんでしょうか?
皮膚症状(赤い、かゆい)が最多
掻痒感 63%
全身蕁麻疹 36%
全身紅潮 27%
血圧低下 46%
呼吸苦 27%
つまり半分以上は血圧下がらないし、
4人中3人は息苦しくなりません
薬を使った直後に
皮膚症状(赤い、かゆい)が出たら
すぐにアナフィラキシーを疑います
血圧測って呼吸困難感の有無を確認して、
周りの人を集めながら
救急カートからボスミンを取り出して0.3ml筋注することが重要です
(Harboe T, Guttormsen AB, Aarebrot S, et al. Suspected allergy to local anaesthetics: follow-up in 135 cases. Acta Anaesthesiol Scand 2010; 54: 536-42.)
ここまで読んで
アナフィラキシーを疑ったらアドレナリン0.3ml筋注
は覚えたと思いますが、
心配なのは
「アナフィラキシーではないのにアドレナリン0.3ml筋中したらどうなる?」
だと思います
資料によれば、
アドレナリンの0.3mgの筋肉内注射であれば、
有害事象が起きる可能性は非常に低い
アナフィラキシーの治療でアドレナリン筋注(0.5mg以下)が実施された患者のうち、
1.3%で軽微な有害反応が生じただけだったとの報告があります
アドレナリンの投与量が0.5mg以下であれば、
命に危険が及ぶような合併症をきたさないと思われます
アナフィラキシーは命に危険が及ぶ緊急事態です
ためらわずに筋肉内注射を実施する
この「ためらわずに」というところが重要です
112D-38
アナフィラキシーショックでみられる血圧低下の原因は?
2つ選べ
a 徐脈
b 貧血
c 血管拡張
d 気管支拡張
e 血管透過性亢進
<解説>
血圧は、動脈(ゴムホースのイメージ)が
どれぐらいの圧で張っているかを測ったものなので
動脈が拡張したり、血液の量が減ると
張りがなくなって、血圧が下がります
アナフィラキシーでは、
血管が広がるので張りが減ります
加えて、
血管透過性が亢進して、
アルブミンなど血液成分が漏れ出て、
血液量が減るので張りがなくなって、血圧が下がります
112B-73
30歳、女性
主訴:左側顎角部の腫脹
既往:ヨード系造影剤によるショック
検査の結果、下顎蜂窩織炎と診断し、抗菌薬の静脈内投与を行ったところ、しばらくして搔痒感を訴えた。
その時の上腕の皮膚写真を示す
今後予想されるのは?
3つ選べ
a 喘鳴
b 意識消失
c 血圧上昇
d 体温上昇
e 動脈血酸素飽和度の低下
<解説>
この後どうなるか?
アナフィラキシーに限らず、
医療者には先読みする姿勢が大切です
「こんな症状が出てきそうだ」
そう思いながら、
アドレナリン0.3ml 筋注の準備をしましょう
1956年、
東京大学法学部教授が、
自宅近くの歯科医院で治療中、
ペニシリン注射によるアナフィラキシーショックをおこし、搬送先の病院で亡くなりました。
法曹界の重鎮が亡くなり社会問題に発展しました。
歯科治療をするのであれば、
アナフィラキシーの対応は覚えておきましょう
ちなみに、ショックという言葉は、
「彼氏に浮気されてショック」とか
「自動車に追突されてショックを受けた」など
日常生活でも様々な場面で使われます
医学的には
ショック=急性全身性循環障害
循環障害で、
重要臓器の機能を維持する
酸素と栄養素が供給できない状態のことです
要するに、
「血圧が下がって、重症な状態」です
108A-57
皮内テストで正しいのは?
1つ選べ
a 検査液 1.0 mLを皮内注射する。
b 陰性であればアレルギーは否定できる。
c IV型アレルギーの判定は注射の1時間後に行う。
d 抗ヒスタミン薬の内服は継続したまま検査する。
e アナフィラキシー反応が誘発される可能性がある。
110C-114
病態と治療薬の組合せで正しいのは?
1つ選べ
a てんかん発作 オセルタミビルリン酸塩
b 気管支喘息発作 ピロカルピン塩酸塩
c 局所麻酔薬中毒 アセトアミノフェン
d アスピリン喘息発作 アドレナリン
e アナフィラキシーショック ジアゼパム
<アスピリン喘息>
気管支喘息の一タイプ
成人喘息の約10%を占める
COX-1 阻害作用をもつ NSAIDsを投与されることにより,喘息発作が誘発される
半数は潜在しており,NSAIDsを投与されて始めてわかる
「早期対応」
・ 基本は通常の喘息発作と同じ
・ エピネフリン(アドレナリン)の筋肉内注射が有効
・ ステロイドの急速静注は危険
静注用ステロイドにはコハク酸エステル型(ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロンなど)とリン酸エステル型(デキサメタゾン、ベタメタゾンなど)がある。
コハク酸エステル型を急速静注すると高頻度で喘息症状の増悪がみられる。
リン酸エステル型は危険性少ない。
しかし、パラベン(パラオキシ安息香酸エステル:防腐剤)や亜硫酸塩(安定化剤)が含まれている場合は、ときに症状が増悪する。
急速静注を避ければ危険性は減る。
経口ステロイドにはこのような危険性はない。
ボスミン®は
1倍ではなく1000倍です
<過換気症候群>
113D-5
過換気症候群で低下するのは?
1つ選べ
a 血圧
b 心拍数
c 動脈血pH
d 動脈血酸素飽和度
e 動脈血二酸化炭素分圧
<解説>
ハアハアたくさん呼吸をすると、
二酸化炭素が吐き出されるので、
動脈血の二酸化炭素分圧が低下します
110B-34
21歳、女性
強度の歯科治療恐怖症で、亜酸化窒素吸入鎮静下での抜歯が計画された
アドレナリン添加2%リドカイン塩酸塩1.8mLを用い
浸潤麻酔を行ったところ、呼吸困難、四肢のけいれん、意識混濁が観察された。
血圧 120/82mmHg, 脈拍数 78/分, 呼吸数 24/分、
SpO2 99%で、
動脈血液ガス pH 7.55, PaCO2 28Torr、PaO2 280Torr考えられるのは?
2つ選べ
a 気管支の収縮
b 脳血管の収縮
c 炭酸ガスの蓄積
d 呼吸性アシドーシス
e 血中カルシウム濃度の低下
<解説>
注射をして短時間で具合が悪くなったので最初にアナフィラキシーを心配します
大急ぎでバイタルを測ると血圧は低くなく、頻脈もなく、酸素化も良いので症状(呼吸困難感、けいれん、意識混濁)の重症感と合わない印象を持ちます
これはアナフィラキシーではなく、歯科治療恐怖症の方が「過換気発作」を起こしています
「苦しい!!」と言われて慌てて対応するも、バイタル悪くない・・
脈拍数や呼吸数はもう少し多くても良さそうな気がしますが、きっと深い大きな呼吸で24回なのでしょう
「アナフィラキシーではなく過換気かな?」と思いながら血液ガスをとってPaCO2が下がっていれば(基準値は40Torr)息しすぎと判断できます。この場合、呼吸性アルカローシスでpHが7.4よりも大きな値になります
「過換気発作」は本題のように「10-30歳代女性」に多い
三大症状:①めまい、②胸部症状(呼吸困難や動悸)、③両手指のしびれ
手指のしびれのあと、過換気が続くと
「助産師の手」が認められます
↓
「過換気」で体にどんな変化が生じますか?
息をたくさんすると、二酸化炭素がたくさん吐き出されます
血中の「二酸化炭素分圧」が低くなると症状が出ます
①「過換気と脳血管の関係」
②「過換気と血中カルシウム濃度の関係」
①「過換気と脳血管の関係」
「脳血管は、二酸化炭素が減ると収縮し、二酸化炭素が増えると拡張する」ようになっています
たくさん息をすることは良いことのように思われるかもしれませんが、決して良いことではなく、ときに有害です
脳を栄養する大事な血管は、血液中の二酸化炭素に敏感です
呼吸ができずに二酸化炭素が増えているときは、血管を広げて血流量を増やすことでなんとかやりくりします
逆に、二酸化炭素が減っているときは、血管が収縮して血液量を減らします
脳血管の一部がもともと狭い「もやもや病」という病気があります
脳血管を造影すると細い血管がもやもやして見える病気です
血管がもともと狭いので、過換気で二酸化炭素が減ると狭い血管がますます狭くなって脳虚血を起こしてしまいます
泣きわめいたり、ラーメンをフーフーしたりして過換気になってはいけない病気です
②「過換気と血中カルシウム濃度の関係」
「過換気で血中カルシウム濃度は低下する」
ですが、理屈はややこしいです
なるべくわかりやすく説明すると、
血液は二酸化炭素が増えると酸性に、二酸化炭素が減るとアルカリに傾きます
過換気では血液はアルカリに傾きますが(pHが7.4より大きくなる、アルカローシス)、
これは血液中の水素イオン(H+)が減ることを意味します
H+が減ると、減ったぶんのH+を補充してpHを7.4に戻そうとする仕組みが働きます
これは「緩衝」と呼ばれますが、人の体はpHをなんとかして7.4に保とうとする様々な仕組みを持っています
問題文ではpH7.55なので7.4に戻そうとする変化が起こります
その変化の一つが、
血中のタンパク質である「アルブミン」によるH+の放出です
H+を放出することでpHを7.4に戻そうとします
そして、H+を放出したアルブミンは陰性(マイナス)になるため、血液中の他の陽イオンと結合します
それが「カルシウムイオン(Ca2+)」です
血中のカルシウムはアルブミンとくっついたり離れたりしますが、H+を放出したアルブミンと結合しやすいため、フリーのカルシウムは減ります
いわゆる血中カルシウムは、全カルシウム(アルブミンとくっついているカルシウムとくっついていないカルシウム)を意味しますが、カルシウムの働きはフリーのカルシウムによって行われます
カルシウムの重要な働きに、神経細胞の興奮を抑える働きがあります
これがなくなると、
「けいれんやピクつき(動くような神経刺激がないのに勝手に筋肉が動いてしまう)」、「異常感覚(触られた神経刺激がないのに勝手に触られたような感じがしてしまう)」という症状がでます
[テタニー]
関連して、
「補正カルシウム濃度」という言葉があります
これもアルブミンとカルシウムが結合するということを考慮したものです
要するに「血中カルシウム濃度よりも、フリーのカルシウム濃度が大事」という意味を持ちます
アルブミンが低下した状況では、フリーのカルシウムは増えるため、実際の測定される全カルシウム値よりもカルシウムイオンの働きが強く出ます(つまり、採血データ上は高カルシウム血症ではないのに高カルシウム血症の症状が出てしまう)
そこで、フリーのカルシウム濃度を反映させるために採血データのカルシウム値を補正したものが「補正カルシウム濃度」です
問題を作った先生は、「過換気でテタニーが出るのはフリーのカルシウム濃度が低下するからだと知っていますか?」と言うことを聞きたいのだと思います
選択肢にある「血中カルシウム濃度の低下」だと全カルシウム濃度に聞こえてしまうのでちょっと選びにくいですが、他の選択肢からもこの選択肢が正解になります
医師国家試験
103G-68
血液生化学検査の結果を示す。
血糖320mg/dL、総蛋白5.5g/dL、
アルブミン2.9g/dL、
Na 128mEq/L、K 3.2mEq/L、Cl 101mEq/L、
Ca 7.3mg/dL
補正カルシウム濃度を求めよ。
解答:□.□ mg/dL
(解答欄には単位を除いた数値を半角で入力)
解答: 8.4
<解説>
血清カルシウム濃度には、アルブミンと結合したカルシウムも含まれています
アルブミンが少ない場合、同じ血清カルシウム濃度でもアルブミンと結合していない「フリーのカルシウム」が多く存在するため、高カルシウム血症の症状がでることがあります
そのため、アルブミンが少ない場合には血清カルシウム濃度の補正が必要です
<計算式>
血清アルブミン濃度が4.0g/dl未満の場合:
補正カルシウム濃度=
血清カルシウム濃度+4−血清アルブミン濃度
7.3 +(4.0-2.9)=8.4mg/dL
血清アルブミンの正常値が4.0として、
そこからアルブミンが減ったぶんだけカルシウムを増やす式。
例えば、アルブミンが1で採血カルシウム値が9であれば9+(4-1)=12!!になるので高カルシウム血症としての対応が必要になるわけです
歯科治療時の偶発症で、
a 過換気症候群
b 局所麻酔薬中毒
c 血管迷走神経反射
d 高度房室ブロック
e アナフィラキシーショック
103C-129
測定しているのは?
2つ選べ
a 血圧
b 脈拍
c 体温
d 動脈血酸素分圧
e 動脈血酸素飽和度
110C-101
パルスオキシメータで正しいのは?
2つ選べ
a 頻脈の診断が可能である。
b 貧血では測定値が低下する。
c 90%未満は低酸素血症を示す。
d 動脈血の酸素分圧を測定する。
e 過呼吸発作時には測定値が低下する。
<解説>
パルスオキシメータは侵襲なく簡単に「SpO2」が測れます。
日本人が発明しました(青柳卓雄氏)
パルスオキシメータは「SpO2」と「脈拍数(PR:pulse rate)」の2つが表示されます
SpO2:
動脈血のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているか
皮膚を通して測定したもの
SaO2:
動脈血のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているか
動脈血液ガス検査(動脈血の採血)で測定したもの
指先につけたセンサーでどうやって動脈血のヘモグロビンを調べるのでしょうか?
パルスオキシメータは、
指先の動脈、静脈、その他の組織に存在するヘモグロビンのうち、
脈を打っている成分についてのみ調べることで動脈成分を抽出しています
そのため、
脈拍数が必ず表示されますし、
うまく脈拍数が検出できないときはSpO2の値も不正確なものになります
動脈血の酸素分圧は動脈血液ガス検査で測定でき、
PaO2と表します
PaO2(動脈血の酸素分圧)は簡単にいうと「動脈血の酸素濃度」です
SpO2は動脈血の酸素飽和度であり、ヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかを表します
血液に溶け込んだ酸素は次々にヘモグロビンと結びつきます
PaO2=溶け込んだ酸素、SpO2=結びついた酸素です
高濃度酸素を吸って、PaO2が上がるとSpO2も上がります
全ヘモグロビンが酸素で飽和するとSpO2は100%で、それ以上は上がりません
ちなみに「SpO2 90% ≒ PaO2 60Torr」です
「SpO2 90%(PaO2 60Torr)未満の状態」が長く続くと、脳や心臓などの重要臓器に十分な酸素が供給されずに障害をきたすことがあるため、「呼吸不全」と言います
112C-84
10歳、男児
主訴:上顎左側第一乳臼歯の動揺と食欲不振
知的障害があり歯科治療に不協力
保護者の同意後に体動抑制下でDを抜歯することとした
処置中の写真を示す
左足親指に装着したモニタで早期発見できるのは?
1つ選べ
a 誤飲
b 発熱
c 過換気
d 意識消失
e 気道閉塞
<解説>
パルスオキシメータをつければ、
酸素飽和度が下がったらわかります
たしかに気道閉塞で呼吸ができなくなれば発見できます
ですが、
呼吸の評価は胸部の動きなどいわゆる「見た目」で
異常に気づくことが理想です
普段から呼吸を気にする癖をつけましょう
109A-61
術前検査で呼吸器障害の病型分類に利用されるのは?
1つ選べ
a 心電図
b 血液ガス分析
c カプノグラフィ
d スパイロメトリ
e パルスオキシメータ
<解説>
「呼吸器障害の病型分類」という言葉の使い方に違和感があります
「術前検査で」から汲み取ると、「換気障害の分類」に利用するのはスパイロメトリ(略してスパイロ)です
スパイロの結果で、換気障害を拘束性障害と閉塞性障害、およびその両方である混合性障害に分類します
息を吸って吐いてすることを換気と言いますが、
換気の障害され方として、
① たくさん吸えない(拘束性障害)
② 勢いよく吐けない(閉塞性障害)
の2パターンがあります
111B-18
左心不全の特徴は?
1つ選べ
a 多尿
b 肝腫大
c 下腿浮腫
d 呼吸困難
e 頸静脈怒張
<解説>
左心不全→左心系が滞る→その手前(肺)に血液が渋滞→呼吸困難
右心不全→右心系が滞る→その手前(体)に血液が渋滞→肝腫大、下腿浮腫、頸静脈怒張
110C-42
血中カルシウム濃度を調節するホルモンを産生するのはどれか。1つ選べ。
a 松果体細胞
b 濾胞傍細胞
c 膵島B細胞
d 糸球体傍細胞
e 副腎髄質細胞
110A-88
細胞外液中に増加すると神経細胞の著明な脱分極を起こすのはどれか。1つ選べ。
a K+
b Na+
c Fe2+
d Mg2+
e Zn2+
<解説>
通常、
「細胞外にはNa+が多く、細胞内にはK+が多い」
<覚え方>
海の単細胞生物にとって、細胞外=海水です
海水は塩(NaCl)を多く含み、細胞はNa+ではなくK+を多く含むことで細胞の内外を区別しています
細胞はエネルギーを使ってこの状態(Na+を外に出して、K+を内に入れる)を維持しており、イオンの分布が内外で異なることによって「静止膜電位(-70mV)」が生まれます
この状態が保てなくなると(例えばエネルギー不足で)、膜電位は0mVに近づいてしまいます
本題ですが、
細胞外にK+が増えるということは、「通常の状態よりもK+の内外差が少なくなってしまう」ため、膜電位は0mV(エネルギーを使っていない状態)に近づいてしまい、神経細胞では脱分極(分極の状態から脱出)してしまいます
107C-130
血清カリウム値(mEq/l)で基準値内にあるのは?
1つ選べ
a 0.01
b 0.1
c 1
d 4
e 8
<解説>
細胞外に多くあるのはナトリウム(海水をイメージ)
細胞内に多くあるのはカリウム
→細胞外にカリウムは少ない( ≒ 4mEq/l)
カリウムの静注は禁忌です
有名なことですが、
幾度となく事故が起こっているため、
静注できないような工夫がいろいろされています
110A-121
成人の検査値で基準値内にあるのは?
2つ選べ
a 血小板 50,000/μL
b 空腹時血糖 90mg/dL
c クレアチニン 5.0 mg/dL
d 総ビリルビン 1.0 mg/dL
e ヘマトクリット 30%
<解説>
110C-21
徐脈の原因となるのは?
1つ選べ
a β遮断薬
b ループ利尿薬
c H2受容体拮抗薬
d 副交感神経遮断薬
e アンジオテンシン変換酵素ACE阻害薬
110C-29
アシドーシスの判定に有効なのは?
1つ選べ
a 赤沈
b 血球検査
c 血小板機能検査
d 免疫血清学検査
e 血液ガス分析検査
<解説>
アシドーシスであるか ≒ 血液が酸性に傾いているかを
調べる検査は「血液ガス」です
110C-31
来院時の歩行状態を図に示す。
最も疑われる疾患は?
1つ選べ
a 脳梗塞
b 骨粗鬆症
c Parkinson 病
d 関節リウマチ
e 脊髄小脳変性症
110C-38
抗菌薬やNSAIDsの有害作用で高熱と粘膜の紅斑を伴う重症薬疹を特徴とするのは?
1つ選べ
a Reye症候群
b 医原性 Cushing症候群
c Stevens-Johnson 症候群
d 薬剤性ネフローゼ症候群
e 薬剤性 Parkinson 症候群
110C-33
Broca領域が司る機能は?
1つ選べ
a 嚥下
b 嘔吐
c 嗅覚
d 発語
e 味覚
110C-109
急性ストレス反応で血中濃度が上昇するのは?
2つ選べ
a アドレナリン
b オキシトシン
c コルチゾール
d 黄体形成ホルモン
e 卵胞刺激ホルモン
111B-18
左心不全の特徴は?
1つ選べ
a 多尿
b 肝腫大
c 下腿浮腫
d 呼吸困難
e 頸静脈怒張
110C-78
慢性心不全患者の急性増悪に伴う症状は?
1つ選べ
a 頭痛
b 発汗
c 発熱
d 息切れ
e けいれん
111D-61
慢性心不全の重症度の評価に用いるのは?
2つ選べ
a CRP
b Dダイマー
c NYHA分類
d ヘマトクリット
e 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
109A-21
副腎皮質ステロイド薬の副作用でないのは?
1つ選べ
a 低血糖
b 易感染性
c 骨粗鬆症
d 消化性潰瘍
e 満月様顔貌
ステロイドにより血糖値は上昇します
経口プレドニゾロン1mgあたり食事に用いるインスリン1単位増加するというような調整が必要になります
109A-89
エネルギー必要量を求める際に使用される指標は?
2つ選べ
a 体重
b 活動量
c 血糖値
d 腹囲径
e 体脂肪率
109A-99
83歳、男性
認知症があり介護老人福祉施設に入居中
食形態の決定のために施設職員と食事観察を行っていたところ、激しくむせこみ、苦悶表情を呈した
適切な対応は?
1つ選べ
a 経過観察
b 背部叩打
c 血圧測定
d 飲水の指示
e 追加嚥下の指示
109A-53
病態と治療薬の組合せで正しいのは?
1つ選べ
a 狭心症 ハロペリドール
b 不整脈 フルコナゾール
c 低血糖発作 インスリン
d 気管支喘息 サルブタモール硫酸塩
e 神経障害性疼痛 アンピシリン水和物
<解説>
さすがにこういう形で出題されると、薬については丸暗記せざるを得ないです
商品名ならともかく一般名で聞かれるのであれば、優先順位をつけながら少しずつ覚え、なるべくいろんな問題でこまめに接するのがいいと思います
この中でインスリンは血糖を下げるホルモンなので知っていると思います
フルコナゾールは抗真菌薬なので多少は馴染みがあるでしょうか
<口腔咽頭カンジダ症>
特徴:口腔・咽頭の容易に剥がれる白苔
口角炎や舌表面や硬口蓋の発赤のみの場合もある
免疫力低下の指標であり、CD4<200/µLで多い
治療:フルコナゾール(100)1T/日 3-5日
フロリードゲルやファンギゾンシロップによる局所治療より、フルコナゾール内服が治療効果高い。
再燃時にはフルコナゾールを再度内服する。
<気管支喘息>
サルブタモール(サルタノール®︎)は、喘息発作で狭まった気管支を「β2刺激薬」として広げて症状を和らげます。
サルブタモールは、短時間作用性β2刺激薬です
即効性があり、作用時間も短いのが特徴です。
実際には4~6時間しか効果がないといわれています。
115A-9
重層扁平上皮をもつのは?
1つ選べ。
a 食道粘膜
b 細気管支粘膜
c 空腸粘膜
d 卵管粘膜
e 尿管粘膜