<意識障害>
103A-5
意識消失し呼吸が確認できない患者に、
頭部後屈あご先挙上法を行うと、呼吸が確認できた
気道閉塞の原因として考えられるのは?
1つ選べ
a 気道偏位
b 舌根沈下
c 咳嗽反射
d 気道異物
e 喉頭けいれん
<解説>
意識がないときに確認することは、
① 気道が閉塞していないか
② 自発呼吸があるか(吸おう吐こうとしているか)
まず、上図のように気道を開けます
気道を開けたら(自発)呼吸が見られたということは、
吸おう吐こうとしているということです
113B-77
29才、男性
主訴:下顎右側第二大臼歯の冷水痛
歯科治療恐怖症あり、ミダゾラムによる静脈内鎮静下で
コンポジットレジン修復
処置中にいびきをかきはじめた
深呼吸を指示したが応答なし
生体モニタ画面を示す
行うべき対応は?
2つ選べ
a 酸素投与
b AEDの使用
c 胸骨圧迫心マッサージ
d 局所麻酔薬の追加投与
e 下顎挙上による気道確保
<解説>
鎮静したら(≒深く眠らせたら)、
舌根沈下で気道が狭くなって(いびきかいて)、
SpO2が下がった
「いびき」=自発呼吸あり
気道開けて(下顎挙上)、
酸素投与すれば自発呼吸はあるのでSpO2上がるはず
では自発呼吸もなかったらどうしますか?
酸素投与しても吸って吐いてをしてもらえないので、
「マスク換気」をする必要があります
通常、ミダゾラムは希釈して使います
1アンプル=ミダゾラム10mg=2ml
これを生理食塩水8mlで希釈して10mlにします
すると、10mg/10ml=1mg/mlになります
この希釈したものを1〜2mlゆっくり静脈注射
=1〜2mgがゆっくり投与されることになる
投与量を間違えると事故が起こります
「2ミリ投与して!」と言われ、
原液2mlそのまま全部入れてしまうと、
本来は1〜2mgで良かったものが10mg入ってしまいます
すると、気道閉塞だけでなく、
自発呼吸も止まり慌てることになるので注意しましょう
ここでいう注意とは、
ただ気をつけるということでなく、
「薬の量を指定するときは必ず単位も伝える」と
いうことです
「2ミリ」→2mg? 2ml?
「2ミリグラム」とはっきり言う習慣をつけましょう
ちなみに、適切な鎮静ってどんな感じでしょうか?
↓
ミダゾラム添付文書:
[歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静]
目標とする鎮静レベルは、呼びかけに応答できる程度とすること。
→問題文は、深呼吸の指示に応答できないので深すぎ
適切な投与法は?
[歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静]
初回投与としてミダゾラム1〜2mgをできるだけ緩徐に(1〜2mg/分)静脈内注射
必要なら2分以上の間隔を空けて、
0.5〜1mgをできるだけ緩徐に(1〜2mg/分)追加
ただし、初回の目標鎮静レベルに至るまでの、
初回投与及び追加投与の総量は5mgまで
111D-2
精神鎮静法に用いるのは?
1つ選べ
a ミダゾラム
b リドカイン塩酸塩
c アトロピン硫酸塩水和物
d メチルフェニデート塩酸塩
e スキサメトニウム塩化物水和物
111C-19
静脈内鎮静法を避けるべきなのは?
1つ選べ
a 異常絞扼反射
b 過換気症候群
c 気道確保困難
d 歯科治療恐怖症
e 血管迷走神経反射
<解説>
鎮静をする際には、
「気道閉塞したら」
「自発呼吸が止まったら」
これらに対応できる必要があります
「気道確保困難」=対応できない
であれば、鎮静は危険だと考えなければいけません
112C-34
静脈内鎮静法で麻酔深度が深い時のリスクは?
2つ選べ
a 痙攣
b 誤嚥
c ショック
d 上気道閉塞
e 血管迷走神経反射
<解説>
普段、寝てる時に上気道閉塞ぎみだと
「いびき」が大きくなりますが、
誤嚥はせずに無意識に唾液の嚥下ができています
鎮静を深くすると、
上気道閉塞があっても苦しく感じなくなりますし、
誤嚥しても咳反射も起こらずそのままになります
寝ている程度では処置で目が覚めてしまうので、
鎮静では「睡眠」よりは深くしますが、
深くなりすぎないように調整します
112A-13
精神鎮静法で使用するミダゾラムに期待するのは?
1つ選べ
a 健忘
b 昇圧
c 制吐
d 鎮痛
e 呼吸促進
<解説>
誰でも処置など心身に負担がかかるものは嫌なものです
やむなく処置をすることになっても、
嫌な記憶はない方がいいです
ミダゾラムは
ぼーっとした状態(鎮静)にして、
嫌な記憶も忘れてしまう(健忘)
そんな効果を期待して使います
ミダゾラムの良さを活かせるよう、
リスクも知って安全に使えるようにしましょう
<失神>
<頚動脈洞症候群>
111A-80
55歳、男性
舌癌による頸部リンパ節転移のため頸部郭清術を行っている。
手術中のモニタの波形を示す。
まず投与すべき薬剤は?
1つ選べ
a ニトログリセリン
b リドカイン塩酸塩
c エスモロール塩酸塩
d フェニレフリン塩酸塩
e アトロピン硫酸塩水和物
<解説>
「頸動脈洞症候群」
頚部郭清術では頚動脈周囲に操作が及びます
頚動脈の分岐部(内頚-外頚動脈への分かれ目)から内頚動脈の始まりの部分に「頚動脈洞」があります
内頚動脈は脳を栄養する動脈ですが、
(覚え方:内頚動脈=頭蓋内、外頚=頭蓋外)
脳に行く血流を管理するために、
内頚動脈にはこの「頚動脈洞」という「圧センサー」があります
この部分にかかる圧が下がったら血圧を上げ、圧が上がったら血圧を下げるように調整されます
その際に関わる神経は、
頚動脈洞から脳に伝えるのが舌咽神経
脳から抹消に迷走神経や交感神経です
「頚動脈洞」を押すと、心臓の機能を抑える反応が起こります
具体的には、
洞機能や房室伝導能を抑制することで
「洞停止」や「房室ブロック」が生じ,問題の心電図のように「心停止(止まった状態)」に至ります
この際には、
迷走神経による抑制刺激を取り除くために
アトロピンが使われます
(ただし、手術操作を一旦止めてアトロピンを準備している間に、脈が戻ることが多いです)
110C-125
失神発作を伴いやすい不整脈は?
1つ選べ
a 心房細動
b 右脚ブロック
c 上室性期外収縮
d 心室性期外収縮
e 高度房室ブロック
<解説>
まず「失神」の定義ですが、
「一時的な意識消失の結果,姿勢が保てなくなり,かつ自然に,また完全に意識が回復がすること」
要するに、
目の前が白くなったり、暗くなったりして、
フワーッとして、
バタンと倒れてしまうことです
そのあとすぐに意識が戻り、
完全に普段どおりの状態に戻っているのが失神です
失神の原因はいろいろありますが、
共通することは
「一時的な脳全体の血流低下」です
つまり、
脳そのものには異常がなく、
脳への血流が一時的に不足したせいで
意識がなくなるので、
血流が再開したら完全に元に戻るわけです
そして、
この失神には「ガイドライン」があります
大事なことは、
失神は循環器の異常ということです
ガイドラインを作成している学会も
ほとんどが循環器関連の学会であることからも
失神は脳の異常ではないことがわかります
111C-10
血管迷走神経反射における循環動態で正しいのはどれか。1つ選べ。
a 徐脈
b 不整脈
c 1回拍出量の減少
d 循環血液量の減少
e 末血管抵抗の増加