<全身麻酔>
113B-90
静脈麻酔薬を用いて全身麻酔を導入する際の手技を
実施の順番に並べよ
①→マスク換気→②→③→④→⑤
a 気管挿管
b 喉頭展開
c 筋弛緩薬の投与
d 静脈麻酔薬の投与
e 両側肺野の呼吸音の聴診
<解説>
バイタルが問題ないことを確認し、
点滴ラインをとります
静脈麻酔薬を投与し(d)
寝たらマスク換気をします。
問題なくマスク換気ができたら
喉頭展開をしやすくするために筋弛緩薬を投与します(c)
喉頭鏡で喉頭展開をし(b)
気管挿管します(a)
きちんと挿管できていることを確認するために、
両側肺野の呼吸音の聴診をします(e)
113A-76
全身麻酔の際、気管挿管や切開に伴う交感神経活動の亢進を抑制する目的で投与するのは?
1つ選べ
a NSAIDs
b 筋弛緩薬
c 抗不整脈薬
d 麻薬性鎮痛薬
e カルシウム拮抗薬
<解説>
全身麻酔下でも、
気管挿管や切開をすると、
疼痛刺激によって、血圧が上がって、脈が早くなります
全身麻酔なので意識はなく、痛みとしては感じないですが
体は反応するということです
このような血圧上昇や頻脈(交感神経活動の亢進)を抑制するために、
麻薬性鎮痛薬(フェンタニルなど)を投与します
113B-9
全身麻酔で使用する薬物とその分類の組み合わせで正しいのは?
1つ選べ
a セボフルラン ー 静脈麻酔薬
b プロポフォール ー 揮発性吸入麻酔薬
c レミフェンタニル ー 非ステロイド性抗炎症薬
d フルルビプロフェン ー 麻薬性鎮痛薬
e ロクロニウム臭化物 ー 筋弛緩薬
<解説>
a セボフルラン ー 「揮発性吸入」麻酔薬
→セボは吸入麻酔薬です
b プロポフォール ー 「静脈」麻酔薬
→一般的な知識としてプロポフォールは知っておいた方がいいと思います
c レミフェンタニル ー 「麻薬性鎮痛薬」
d フルルビプロフェン ー 「非ステロイド性抗炎症薬」
→「〇〇プロフェン」なのでよくCMでやってる「イブプロフェン配合!」と似ているので「非ステロイド性抗炎症薬」NSAIDs(エヌセイド)かなとわかると思います
フルルビプロフェン(ロピオン)は手術後の禁飲食中でも投与できる静注のNSAIDsです
112A-39
血液脳関門を通過するのは?
1つ選べ
a アセチルコリン
b ドパミン塩酸塩
c プロポフォール
d ノルアドレナリン
e ネオスチグミンメチル硫酸塩
<解説>
血液脳関門って何?
血液と脳の間にある「関門」ですが、
当然本当の「関門」ではありません
血液が流れる血管は、心臓を出てから全身すみずみまでつながっています。
血管は末梢で毛細血管となり、「物質のやりとり」をします。
この「物質のやりとり」に制限があることを「(血液脳)関門」と表現しています。
「脳」は大事なので、限られた物質のみが通過を許可されます。
つまり「脳」と「脳以外」で「物質のやりとり」のしやすさが違います。
ちなみに、この「物質のやりとり」を制限しているのは、血管壁を構成する「血管内皮細胞」です。
「プロポフォール」は静脈内投与で脳に作用する全身麻酔薬です。
そもそも血液脳関門を超えられるので、
「全身麻酔薬」として、脳に作用することができます
他の選択肢にある、神経伝達物質(神経細胞に作用する物質)は、そのまま脳に作用すると不都合なので、「関門」でブロックされます。
112A-43
全身麻酔において患者の術前経口摂取を制限する目的は?
1つ選べ
a 血圧の安定
b 誤嚥の予防
c 血糖上昇の抑制
d 口腔衛生の保持
e 意識レベルの維持
<解説>
食べたり飲んだりを避けるのは、吐いたら困るからです
全身麻酔の時、通常は「気管挿管」をします
挿管の前にマスクを押し当てて換気しますが、
下手だと胃に空気が入って胃が膨らみます
胃が張って中身が逆流して(つまり吐いて)
それを喉頭〜気管〜肺に押し込んだら「誤嚥性肺炎」に
なります
嘔吐させないためには、胃が空っぽがいいということです
110C-69
吸入麻酔薬の最小肺胞内濃度MACで正しいのは?
2つ選べ
a 導入の速さに比例する。
b 麻酔薬の強さに比例する。
c 鎮痛作用の強さの指標となる。
d 麻酔薬投与濃度の指標となる。
e 50%のヒトが皮膚切開に対して体動を示さない肺胞濃度である。
109A-80
全身麻酔器の一部の写真を示す。 矢印で示す装置の主たる目的はどれか。1つ選べ。
a 回路内の加湿
b 回路内の除菌
c 麻酔ガスの加温
d 麻酔ガスの除塵
e 炭酸ガスの除去
<解説>
107A-115
全身麻酔に際して、
気管チューブが気管内に挿入されているのを確認するのに
最も確実な指標は?
1つ選べ
a 脈拍数
b 気道内圧
c 気管チューブのカフ圧
d 経皮的動脈血酸素飽和度
e 終末呼気二酸化炭素分圧
<解説>
気管挿管をする際、
挿管チューブを奥に進めると、
「気管」または「食道」のどちらかに入ります
「ノドの奥」に当てたまま奥に進めると
「食道」に入ってしまうため、
喉頭鏡を使い、喉頭から気管へ進めます
「気管に入った!」と思っても、
間違えて「食道」に入っていたら換気できません
「気管」に入っていることを確認する方法の一つが
「終末呼気二酸化炭素分圧」の測定です
「終末呼気」=「息を吐きおわる時」
吐きおわる時、
呼気ガスには二酸化炭素が多く含まれていますが、
「食道」に入っていると胃内の空気が出てくるので
二酸化炭素が多く含まれておらず、
「食道挿管なので抜いてやり直そう」となります
111A-16
全身麻酔中に鎮痛のために用いるのは?
1つ選べ
a ジアゼパム
b プロポフォール
c ロクロニウム臭化物
d アトロピン硫酸塩水和物
e フェンタニルクエン酸塩
<解説>
鎮痛薬はたくさんありますが、
名前については覚えるしかありません
良い問題とは言えませんが、
聞かれてしまう以上は仕方がないので覚えましょう
フェンタニルやレミフェンタニル(アルチバ®︎)が
手術中の鎮痛薬としてよく使われます
110D-23
85歳、女性
舌癌に対して頸部郭清術が予定された。
プロポフォールで入眠させ、セボフルラン、フェンタニルクエン酸塩およびロクロニウム臭化物を用いて気管挿管を行った。
挿管終了時の血圧は 145/89 mmHg、心拍数は 88/分であったが、 皮膚切開時に血圧が 189/105 mmHg、心拍数が 100/分に上昇した。
投与すべき薬剤で適切なのは?
1つ選べ
a アドレナリン
b ニトログリセリン
c ロクロニウム臭化物
d フェンタニルクエン酸塩
e プロプラノロール塩酸塩
<解説>
皮膚切開時にがポイントです
全身麻酔で大事なのは鎮痛です
鎮痛がなされない状態で皮膚切開をしても起きないようにと思ったら、たくさんの麻酔薬が必要です
鎮痛がしっかりされている場合は痛み刺激が伝わらないので少ない麻酔薬でも寝たままでいてくれます
皮膚切開で覚醒はしないけど、血圧と脈が上昇するということは痛み刺激が伝わっていることを意味するので、鎮痛薬を追加します
フェンタニルは全身麻酔時に頻用される鎮痛薬です
112A-17
全身麻酔中の写真
額に貼付したセンサーでモニタするのは?
1つ選べ
a 体温
b 脳圧
c 筋弛緩
d 意識レベル
e 酸素飽和度
111D-67
全身麻酔中の患者のモニタ画面の写真
矢印で示す測定値を指標として麻酔中に調整するのは?
1つ選べ
a 換気量
b 輸液量
c 意識レベル
d 吸入酸素濃度
e 吸入麻酔ガス濃度
112A-13
精神鎮静法で使用するミダゾラムに期待するのは?
1つ選べ
a 健忘
b 昇圧
c 制吐
d 鎮痛
e 呼吸促進
<解説>
b 昇圧→血圧低下に注意
c 制吐→吐き気に注意
d 鎮痛→鎮痛効果がないので引っかからないように注意
e 呼吸促進→呼吸抑制に注意
114D-5
ミダゾラムによる静脈内鎮静法の禁忌は?
1つ選べ
a 不安神経症
b 過換気症候群
c 滲出性中耳炎
d 本態性高血圧症
e 急性狭隅角緑内障
<解説>
#急性閉塞隅角緑内障
→抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある
#重症筋無力症
→重症筋無力症の症状を悪化させるおそれがある
#HIVプロテアーゼ阻害剤投与中
→ リトナビルを含有する薬剤、インジナビル、ネルフィナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、ダルナビルを含有する薬剤)、エファビレンツ、コビシスタットを含有する薬剤及びオムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル
#ショック
#昏睡
#バイタルサインの抑制がみられる急性アルコール中毒
107A-46
全身麻酔で用いる器具の写真
矢印が示す部分の挿入部位で正しいのは?
1つ選べ
a 食道
b 気管
c 口腔底
d 後鼻孔
e 喉頭蓋谷
<解説>
喉頭鏡の先を「喉頭蓋谷」に入れて喉頭を引き上げて「喉頭展開」します
「喉頭展開」すると次問題の写真のように見えます
110A-76
麻酔導入における喉頭展開時の写真
全身麻酔後に矢印の部分の運動が障害され、
嗄声が認められた。
本症例の診断は?
1つ選べ
a 扁桃炎
b 顔面神経麻痺
c 舌咽神経麻痺
d 反回神経麻痺
e ホルネル症候群
<解説>
矢印は右の声帯です
「反回神経」が声帯の開け閉めをコントロールします
迷走神経が脳をでて、頚部をおりて胸部で
反回(Uターン)して声帯(喉仏)に戻ってきます
右は腕頭動脈、左は大動脈弓を前から後ろにまたいで折り返して、反回神経となります
甲状腺の手術時に反回神経を切ってしまうと
声帯が動かなくなり嗄声(させい:声がれ)になります
全身麻酔の際にも、
気管挿管の影響でなぜか反回神経が麻痺することがあります
気管挿管時に声帯の後端にある披裂軟骨が脱臼した場合も声帯の動きが悪くなり嗄声(させい:声がれ)になります
問題の選択肢に披裂軟骨脱臼があったら反回神経麻痺とともに両方正解です
113B-81
57才、男性
全身麻酔下に右側の下顎骨嚢胞摘出術を行うこととした。
麻酔導入後、気管挿管のために喉頭蓋を持ち上げた時点で心電図変化を認めた
心電図と脈波の波形を示す
心電図異常の原因として考えられるのは?
1つ選べ
a Cushing反射
b 眼球心臓反射
c 頸動脈洞反射
d 迷走神経反射
e Bainbridge反射
107A-95
神経麻痺と症状との組合せで正しいのは?
2つ選べ
a 動眼神経麻痺 ―――― 閉眼不能
b 舌神経麻痺 ――――― 挺舌時の偏位
c 顔面神経麻痺 ―――― 口唇閉鎖不全
d 迷走神経麻痺 ―――― 嗄
声
e 舌下神経麻痺 ―――― 鼻唇溝消失
108C-103
急性炎症部位で低下するのは?
2つ選べ
a pH
b 痛覚閾値
c 局所血流量
d PGE2の産生
e 一酸化窒素の産生
108D-17
65歳、男性
主訴:咀嚼困難
肥満、睡眠時無呼吸症候群および高血圧症のため加療中
プロポフォールによる静脈内鎮静下にインプラント埋入手術が行われた。
処置中のモニタ画面の写真
適切な対応は?
2つ選べ
a 酸素投与
b 気管内挿管
c 降圧薬投与
d 深呼吸の指示
e プロポフォールの増量
109D-20
全身麻酔中の写真
口腔内手術中に矢印で示すチューブが破損すると
起こるのは?
2つ選べ
a 換気不全
b 胃液の排出
c 吸入酸素濃度の低下
d 麻酔ガス濃度の上昇
e 口腔内分泌物の気管内への侵入
108A-50
気管チューブと声門、気管、気管支の位置関係の図
適切な気管チューブの位置は?
1つ選べ
a ア
b イ
c ウ
d エ
e オ
112B-48
全身麻酔下に手術を受ける患者の常用薬のうち、
手術当日の朝に休薬あるいは減薬が必要なのは?
1つ選べ
a 緩下剤
b β遮断薬
c インスリン
d H2受容体拮抗薬
e カルシウム拮抗薬
112A-87
33才、男性
全身麻酔下に下顎隆起形成術を行うこととした
麻酔導入時に行っているある手技
気管挿管で確認すべきは?
2つ選べ
a 声門
b 口蓋垂
c 披裂軟骨
d 咽頭扁桃
e 気管分岐部
<解説>
チューブ先端が声門(左右の声帯の間)を通り、
披裂軟骨(軟骨なしで「披裂」でいいと思いますが)
をつつかずに奥に進めます
披裂より後ろへ進めると食道挿管になります
披裂を突いて脱臼させると術後に声枯れが出てしまいます
112A-88
この手技で起こりうる合併症は?
2つ選べ
a 嗄声
b 咽頭痛
c 術後嘔吐
d 舌神経麻痺
e 肺血栓塞栓症
<解説>
嗄声(させい:声枯れ)は
反回神経麻痺や披裂脱臼で起こります
咽頭痛は
チューブがのどにこすれるため
風邪のような痛みが出ますが、
通常は数日で治ります
115A-42
全身麻酔時の喉頭痙攣の特徴は?
2つ選べ。
a 舌下神経を介して生じる。
b 筋弛緩薬の投与が有効である。
c 声門開大筋群の収縮で生じる。
d 上気道炎を伴うと発症率は上昇する。
e 長時間持続すると低二酸化炭素血症を生じる。
115A-44
在宅酸素療法で酸素#L/分を鼻カニューレから投与した際の吸入酸素濃度は?
1つ選べ。
a 約20%
b 約24%
c 約32%
d 約40%
e 約50%
115A-57
全身麻酔の導入に際し、意識下挿管を選択する理由は?
2つ選べ。
a 無気肺
b 気道確保困難
c 重度高血圧症
d 反回神経麻痺
e フルストマック(胃充満)
115B-5
全身麻酔中の呼吸状態の評価に用いるのは?
1つ選べ。
a 血圧計
b カプノメータ
c 筋弛緩モニタ
d 経食道心エコー
e BIS(Bispectral index)モニタ